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銀行貸出金利が9年ぶりに変化!貸出金構成の変化による金利改善
金利金融政策銀行
政府の金融政策が打ち出され、第3次補正予算案が詰められるなかで、過去最低水準の更新が続いていた国内銀行の貸出金利が約9年ぶりの上昇に転じたと報じられました。新型コロナ感染拡大に対応した銀行の融資構成の変化に伴って、当面は下げ止まると指摘する声も出ています。
今日は、日本銀行の発表した金利データと今後の金利改善予想についてピックアップ!
国内銀行の貸出金利(ストックベース)の先行きを確認しておきましょう。
ストックベースはなぜ上昇したのか
日銀が発表した9月の貸し出し約定平均金利では、都市銀行と地方銀行、第二地方銀行を合わせた国内銀行の貸出金利(ストックベース)は0.808%と8月の0.807%から小幅上昇したことが分かっています。
上昇はなんと2011年の10月以来ぶりです。都銀が0.672%(前月0.669%)と2か月連続で上昇したのに加え、2008年9月から低下が続いた地銀も横ばいの0.854%となったことが要因とされています。
アナリストらからはストックベースの上昇について「貸出金の構成に変化があったからでは」との意見が出ています。大企業中心ではありますが、予備的に確保した資金を返済する動きが足元で見られているのに加え、コロナ関連で大企業に融資した都銀の短期貸出しは落ちた一方で、地銀のコロナ関連融資は長期のものが多いです。
それらが若干の金利改善につながったのではないかと分析されていますが、今後も金利上昇は定期的に起こるのでしょうか。
実質、10年以上の低下傾向にある貸出金利
過去に実行されていた高めの金利の貸出しが終わり、低い金利に置き換わる「金利低下圧力」に一巡感が出つつありますが、貸出金利の低下ベースはこのところ鈍化していました。しばらくは「貸出金の構成の変化による改善が続く可能性はある」とみられています。よって、今後も金利上昇は十分に起こりうることとして予想されます。
とはいえ、新規の貸出し約定平均金利は依然、ストックベースよりも0.1~0.2ポイント低い水準で推移しています。新型コロナの影響も加わって日銀の超低金利政策はより長期化が見込まれ、貸出金利が先行き上昇基調に転じる要素は乏しいとも言えます。
国内銀行の貸出金利は06年の日銀による量的緩和政策の解除と、その後の利上げで07年まで上昇にありましたが、金融緩和政策にかじを切って以降は10年以上にわたり低下傾向が続いています。
長期的な局面で影響を考える
コロナ終息に見通しが立たない限り、今後も金融機関は預貸金利の低迷による厳しい収益環境は続くとされるでしょう。ですが、政府の金融政策も引き続き実施され、今後も様々な支援や政策が打ち出されるなかでストックベースにもゆるやかに影響が出てくるとの声もあります。
急激な上げ幅などは見込めないものの、今後の政策などに合わせて長期的な局面になることを意識しておきたいところです。