不動産投資ニュース
サブプライム再来か?銀行が抱える「融資激増」問題
リスクリスクに備える金融緩和銀行
新型コロナウイルスの影響で資金繰りに奔走する個人事業主や中小企業。
そんななか、倒産回避に銀行が積極的に融資を行っています。直接的な面談ができずとも、オンラインを通じて融資の幅を利かせるなど、各金融機関が能動的に動いていて政府もそんな銀行の姿勢を後押ししている状況です。
資金繰りにあえぐ個人事業主や中小企業にとっては有難いことこの上ありませんが、一方で懸念される事項も出てきています。
今日は、銀行が抱える融資激増問題をピックアップ!サブプライム再来の懸念などをチェックしておきましょう。
現時点での融資はスピード重視の姿勢
新型コロナウイルスの影響でやむなく営業停止や自粛により、廃業や倒産に追い込まれる企業も少なくありません。
政府としても倒産の連鎖が発生しないように、各金融機関には積極的に融資を行う姿勢を求めています。
現時点での融資は各金融機関いずれもスピード重視のスタイルで、コロナ対策のための無利子商品も続々と登場しています。
しかし、その融資先にはコロナ以前から問題を抱えてきた企業なども含まれているため、状況が改善しなければ、支えられなくなることは必然です。
大企業への融資も激増
心配されるのは問題を抱え個人事業主や中小企業だけでなく、大企業への懸念もあると言われています。大企業への融資も激増しているからです。
不良債権などの問題は中小企業が中心ですが、この特殊な状況下では、大企業であってもそのリスクは存在しています。
全日本空輸(ANA)や日産自動車のように、銀行に多額の融資を求める企業が増え始めてきています。新型コロナウイルスの感染者数は再び増加傾向にあり、第2波、第3波も予想されている状況では、今後ますます大口融資先の問題も増えてくる可能性が高いと言えます。
これらのことから銀行は将来的なリスクを不安視しているとされ、3~5年後が心配という声が軒並み上がるようになりました。
3~5年後が心配されている理由
現時点では民間金融機関や日本政策金融公庫による無利子融資が行われ、各金融機関でも無利子商品で融資を行っているケースが多いです。
この無利子融資は、実質無利子な期間が3年で元金返済の猶予据え置き期間は最大5年とされています。
つまり、利子が発生する、または元金の返済が始まる3年、5年のタイミングで不良債権化する企業が増えるのではないかというリスクがあるのです。
上記期間までに事業の立て直しや返済の目途がたつ体制を構築しなければ、利子や返済が発生した場合に倒産に追い込まれる企業が相次ぐという懸念があるため、銀行マンたちが3~5年後を心配しているのです。
不良債権の問題は金融市場の側面からみても爆弾を抱えている状況と言われています。実際、新型コロナウイルスが蔓延し始めた3月には、株価が大幅に下落して多くの銀行で減損損失が発生しました。
今の状態が続けば、金融機関サイドも抱える問題が大きく膨れ上がってくると言えるでしょう。
サブプライムは再来するのか
特に心配したいのがCLO(Collateralized Loan Obligation=ローン担保証券)です。
CLOは、信用力が相対的に低い企業への融資を束ねて証券化した商品なのですが、リスクの高いものを束ねて商品化する手法は、リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンに通じるものがあります。
日本の銀行が保有するCLOのほとんどがAAA格でリスクが低く、満期保有目的であり、満期まで保有すれば売却損は出ないと言われています。
ですが、価格が大幅に下落した場合、減損損失は明らかです。実際にCLOの価格は3月に大きく下落したことがあり、コロナの影響が長引けば長引くほど、市場が混乱する可能性は大いにあります。
その際、ヘッジファンドなどが顧客からの換金要求に応じるために、CLOが投げ売りされてさらに価格が大幅下落することもありえるのです。
こういったことからサブプライムの再来も心配されていますが、現時点では何とか金融市場全体がギリギリでバランスを保っているためあくまでも予想の域を出ないのが現状です。
今の時点での倒産や廃業が免れたとしても、将来のリスクは決して小さくないことを頭に入れておいた方がいいでしょう。