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【節税】不動産投資が相続税対策になる仕組みとは?効果的な土地活用について解説

節税対策×不動産投資

【節税】不動産投資が相続税対策になる仕組みとは?効果的な土地活用について解説

不動産投資は安定した家賃収入を得ることを目的とした投資手法の一つです。運用に手間がかからないことや、初心者でも始めやすい等の理由からサラリーマンや若者からも注目を集めています。

また不動産投資にはそれらのメリットに加え、相続税対策として活用できるという特徴があります。

国税庁の統計によれば、相続税を納付した相続人の数と財産を相続させた被相続人の数は、いずれも2005年から概ね増加基調で推移しています。[注1]

遺産を受け継ぐ際には、すぐに現金化ができないと物納をしたり、苦労することも多くなるかと思います。相続をする人は、生前の間に相続税の対策をしておくことをおすすめします。

この記事では、不動産投資が相続税対策になる理由やその仕組み、注意点などをまとめて解説しています。

[注1] 不動産マーケットレポート:都市未来総合研究所

不動産における相続税とは?

相続税とは、「人の死亡時に財産を相続する」という形で、相続人が取得したものに対して課税される税金の一種です。相続税は原則、相続人が税務署で納税することになっています。

現金や預貯金、有価証券を相続する場合は、満額が相続税を算出するための評価対象になります。例えば、遺産として現金1億円を相続することになれば、1億円が相続税の評価額となります。

それに対して、不動産を相続する場合は、土地と建物の評価額によって課税額が決定します。また建物の相続税評価は、建物の固定資産税評価額とされており、購入した費用の満額が評価対象になるわけではありません。

建物の固定資産税評価額は、建物の約60%とされているため、1億円で不動産を購入していれば、相続税評価額は約6,000万円となり相続税評価額を4,000万円近く下げることができるのです。

相続税の仕組み

前述した通り、相続税は人の死亡時に被相続人の財産を、相続という形で相続人が取得する際に、取得したもののの評価額によって課せられる税金のことです。

相続税は全ての財産の合計額が決められた金額を超えなければ支払う必要はありません。 この相続税がかからない範囲の金額のことを相続税の「基礎控除」といいます。
つまり、相続税は相続をする全ての人が払わなければいけないというものではないのです。

更に、相続税の基礎を見ていきましょう。
被相続人とは亡くなった人のことであり、相続人と財産を取得する側の人を指します。

基本的に相続人は亡くなった人の配偶者や、一定の血族関係のある人のことであり、相続する順番(相続順位)と相続できる財産の割合(法定相続分)が法的に定められています。

ただし被相続人が遺言を残していた場合は、財産の割合や相続する人物を一部変更できます。

次に、相続税がかかる財産は、

・土地・建物
・現金
・預貯金
・有価証券
・宝石
・貸付金
・特許権
・著作権

等であり、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが対象です。この中で土地・建物に関しては相続評価の方法が他の財産分類とは異なります。

相続税の計算方法と基礎控除額

相続税の計算方法は下記の通りになります。

相続税額=全ての財産額-基礎控除額×相続税率

この計算で用いられる基礎控除額とは、課税対象から差し引く額を指します。相続税は一定額、つまり基礎控除額からはみ出た部分を指します。そのため、基礎控除額が大きければ大きいほど課税される税金も少なくなるという仕組みです。

相続税の基礎控除額は以下のように相続人の数によって変わってきます。

  • ・1人 3,600万円
  • ・2人 4,200万円
  • ・3人 4,800万円
  • ・4人 5,400万円
  • ・5人 6,000万円

 

例えば、相続する1億円で、相続人が1人だとしましょう。その場合に相続税にかかる金額は下記のようになります。

1億円-(3,600万円×1)=6,400万円

つまり、6,400万円に対して相続税がかかってくることとなります。

また、相続税の決定に欠かせないのが、相続税率です。
相続税率は、相続人がいくら相続するかによって変動します。1,000万円以下の相続であれば最小の税率10%、6億円以上の相続であれば最大の55%の税率がかかります。

生前贈与は相続税対策になる?

生前贈与とは、生存している個人から個人へ財産を渡すことです。生前贈与は主に相続税対策を目的として行われます。

生前贈与をすることによって、相続税の評価対象となる財産を減らし、相続税を抑えることができます。また、配偶者に対しての自宅の贈与は2,100万円まで非課税となる点や、相続税精算課税制度により、2,500万円までの贈与は贈与税が発生しないという点がメリットです。
(※相続税精算課税制度は贈与者が亡くなった時に、他の財産と一括して相続税として納税する必要があります。)

また不動産を生前贈与することもメリットがあります。不動産は分けることができないので、相続トラブルが起こりやすい財産です。しかし、贈与者の生前であれば、相続トラブルを未然に防ぐことができるでしょう

更に、不動産は時期によって価格が変動しやすいので、評価額が低い時に贈与をすれば贈与税の節税もできます。

ただし、生前贈与をする際のデメリットもあるので覚えておきましょう。

  • ・不動産を贈与する場合は、相続時には発生しない不動産取得税や登録免許税などの諸費用がかかる
  • ・贈与税の税率は相続税よりも高い
  • ・贈与したタイミングが、相続前3年以内の不動産は相続税の対象になる

これらのことから、財産が相続税の基礎控除範囲内である場合、不動産なら将来値上がりが確実の場合は生前贈与のほうが好ましいといえるでしょう。

不動産投資は相続税対策になる?

不動産投資で節税

不動産を相続する場合は、評価額が購入時の約60%になるため、相続税対策になるという説明をしました。
ところで、不動産投資によって第三者に貸し出している賃貸物件を相続する場合は、居住用の不動産を相続する場合と何かが異なるのでしょうか?

ここからは不動産投資が持つ相続税対策の特徴について、解説していきます。

不動産投資が相続税対策になる理由

繰り返しになりますが、現金を不動産に変えることで相続税を減額できることはメリットの一つです。

また第三者に貸し出している不動産は、自家利用している不動産よりも更に評価額の圧縮につながります。
その理由として、不動産を貸し出している場合、持ち主が自由に使用や処分をしにくく、活用の選択肢が狭まることから、資産の価値が低いとみなされる点が挙げられます。

例えば、一棟マンションの相続税評価額は以下のような計算式で求められます。

賃貸用建物(一棟マンション)の相続税評価額
=固定資産税評価額-(固定資産税評価額(60%)×借家権割合(30%)×賃貸割合)

借家権割合とは、相続税の計算時に用いる「貸家建付地の価額」を算出するために使われる割合のことであり、全国一律で30%です。

賃貸割合とは相続時に貸している部屋数によって変動する割合です。これは空室率の反対で稼働率みたいなものです。
例えば全10部屋の一棟マンションで6部屋を貸し出しているのであれば、賃貸割合は60%となります。

また、小規模宅地等の特例も相続税対策に効果的です。小規模宅地等の特例とは、被相続人が利用していた土地を相続する場合、土地部分の相続税評価額を一定の割合まで減額できる制度です。

しかも「小規模宅地等の特例」では、事業用の土地であっても一定の条件を満たしていれば、200~400㎡に応じて50~80%減額できます。

更に、賃貸物件を相続した場合、相続後の家賃収入に関しては課税対象から外すことができるため、キャッシュフローが安定した状態で引き継ぐことができれば、新たな収入源として役立ちます。

このように不動産投資で購入した賃貸用物件を相続する場合にはさまざまなメリットがあります。

相続税対策をする際の注意点

不動産投資で相続税対策を考えているのであれば、注意点も知っておくほうがよいでしょう。
主な注意点は以下の2点です。

  • ・購入する物件の立地
  • ・賃貸事業の継続

まず一点目の立地に関してですが、賃貸の需要が高い都心部の物件を買うことをおすすめします。相続税対策に目が行き過ぎて、本来の目的である賃貸経営が疎かになってはいけません。都心部であれば、ある程度の賃貸需要はあるため、空室リスクの心配も少ないです。

二点目の賃貸事業の継続ですが、主に小規模宅地等の特例を使う場合に重要となります。小規模宅地等の特例では、相続税の申告期限までに貸付事業を引き継ぎ、尚且つ申告期限までその宅地を保有して継続して事業を行い続ける必要があります

なんといっても不動産投資にリスクはつきものです。いくら相続税対策に効果的だといっても、購入時に相場より高く買わされたなんてことになったら逆効果です。一番の目的は賃貸経営を成功させるということを忘れないでください。

土地活用による相続税対策

単に土地を相続するよりも、土地活用をして事業用の土地や建物を相続する場合の方が、相続税対策には効果的だといえます。

土地活用をした場合、土地の評価額の対象となる部分を減らしたり、特例を利用することによって納税額を抑えることが可能になるからです。

ここからは土地活用がもたらす具体的な節税効果やおすすめの土地活用方法について、説明していきます。

土地活用による節税効果とは

土地活用をすることで相続税の減額につながります。具体的な減額の例は以下です。

  • ・建物を建てて貸していれば、借地権割合により30%の減額が可能
  • ・貸付建付地(貸し出している建物が建っている土地)に該当する場合は約10%~30%の減額が可能
  • ・「小規模宅地等の特例」により、貸している建物の建っている土地の200㎡以内の部分につき50%の減額が可能
  • ・借入金はマイナスの財産となり、評価額合計を抑えられる

四つ目の、「借入金が評価額合計を下げられる」点に関して、もう少具体的に説明をします。
実は相続できる財産には、ローンや負債などのマイナスの財産も含まれます。「借金を相続するメリットなんかあるの?」と感じるかもしれませんが、マイナス資産があることで、課税対象の資産の総額が下がるため、課税額の減額につながるのです

いざ土地活用するとなったら、多くの人が建築費などのローンを借り入れることになるでしょう。建築費分の現金がない場合、借入金による課税額の減額は大きな相続税対策効果になります。

おすすめの土地活用方法

ここからはおすすめの土地活用方法を2つご紹介します。

アパート経営

まず一つ目はアパート経営です。アパート経営とは、賃貸アパートを建て、自らがオーナーとなり、入居者へ貸し出すことで、家賃収入を得ることです。

アパート経営をおすすめする理由は、郊外に建てたとしても土地によっては需要があることです。
マンションの場合は、主に都市部での需要が高くなりますが、アパートの場合は都心だけに限られず、閑静な住宅街を生活圏として選択するファミリー層も一定数存在します。

また、マンションよりも初期費用を抑えられるため、実質利回りが高くなる傾向にあります。初期費用を抑えられるとはいっても、ローンを組むことに変わりはないので、借入金により、評価額の減額にも期待できます。

高齢者施設経営

二つ目は高齢者施設経営です。高齢者施設とは主に、老人ホームやサービス付き高齢者住宅(サ高住)の総称です。

高齢者施設経営もアパート経営と同様に、建物を建てた上での経営であり、「小規模宅地等の特例」や貸家貸家建付地の恩恵で評価額を抑えることにつながります。
また、サービス付き高齢者住宅は建物の設備に要件が設けられており、賃貸住宅経営よりも大きな評価額減が見込めます。

ただし、高齢者施設経営を始めるには介護サービス業者とのやりとりや、高額な初期費用が発生するなどの理由から、スタートするまでのハードルは比較的高いといえます。

最後に

ここまで、不動産投資と相続税対策の関係について解説してきました。

不動産投資は相続税の節税に効果的な手法であり、多くの方が活用されている方法です。
ただし、不動産投資をする一番の目的が相続税対策になることは危険です。あくまで不動産投資は賃貸経営であり、事業の一つです。

事業として成功させることを前提として、相続税対策は付加価値の一つであるという認識でいる方が好ましいでしょう。


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