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空室リスクを回避!家賃や初期費用をキャッシュレス決済にするメリットとは
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不動産投資は節税効果や運用の手間がかからないといった理由から、若い世代や投資初心者から注目を集めています。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資であり、株式やFXのように資産が突然なくなるといったことは起こりにくく、安定した収入を得ていくことができる点も魅力の一つといえるでしょう。
ただし、投資にリスクはつきものであり、不動産投資にもさまざまなリスクが介在しています。その一つが空室リスクです。
この記事では、空室リスクに陥る原因やその対策に加え、空室保証制度や家賃をキャッシュレス決済にすることで得られるメリットなどを解説していきます。
不動産投資における空室リスク
不動産投資を行ううえで、空室リスクを避けて通ることは難しいといえます。あらゆるリスクの中でも、最も発生可能性が高いのは空室リスクだといっても過言ではありません。
まずは、「空室リスクとは何か」から原因と対策までしっかりと理解しておきましょう。
空室リスクとは
空室リスクとは、所有している投資用物件に入居者が入らないことで空室となり、家賃収入が得られない状態になるリスクのことを指します。
前入居者の退去から次の入居者が決まるまでに、数ヶ月かかるパターンはさほど珍しくありませんが、空室期間が長期化すると収支が悪化する可能性が高まります。なぜなら、たとえ空室になっていて家賃収入が得られなくても、管理費やローンの返済はし続けなければならないからです。
空室リスクに陥る原因
空室リスクに陥る原因として主に以下の3点が考えられます。
立地が悪い
立地は部屋を借りるときの判断材料として大きな要素です。物件の購入時にどのような層が入居するかを想定して、立地について考える必要があります。
一般的には、駅までの距離やが近かったりスーパーやコンビニなどが近くにあるとニーズの高い立地であるとされています。
立地に関しては、空室になった際に対策できないので物件の購入時に要検討する必要があるでしょう。
物件の見栄えが悪い
あなたの所有している物件と近いエリア、同じ間取り、同じ家賃の物件があったとしたら、入居者は外装や内装が綺麗な方を選ぶことは予想できるでしょう。
室内のクオリティはもちろん、共有スペースが汚れていたり、エントランス周辺が汚かったりすると、内覧に来た人の印象が良くありません。
定期的に自ら物件を確認し、入居者が住みたいと思えるような状態であるかをチェックすると良いでしょう。
家賃設定が適切でない
家賃も立地と同様に、部屋を選ぶ際の要素として非常に重要だといえます。
物件のポテンシャルとエリアの相場に合わせた適切な家賃設定をすることが大切です。そのためには入居者が変わるタイミングで家賃の改定をすることも必要となるでしょう。
たとえば、該当エリアの家賃相場は下がってきているのに、購入時に設定した家賃のままにしておくと、入居者から高いといった印象を持たれることもあります。
どうしても家賃を下げたくないのであれば、それを補填できるような付加価値を物件につけることが必要となるでしょう。
空室リスクを回避するための対策
空室リスクを回避するための対策として、以下の三つが挙げられます。
・入居条件を見直す
・家賃が適正価格か定期的に見直す
・物件に付加価値をつける
基本的には上述した”原因”を解決していくことが空室リスク回避のための対策となります。
空室リスクに陥らないためには、入居者が部屋を借りるときのコストと家賃というランニングコストに敏感であるということを理解することが大切です。
「家賃は〇〇円以内」と決めて部屋を探している人も少なくありません。家賃だけをチェックされ、候補から外されるのはできるだけ避けたいので、家賃相場の把握と価格の見直しは必須事項だといえます。
また、敷金・礼金の値下げやフリーレント期間の設定なども、借主から選ばれやすくする手段として有効です。
さらに、近年はネット環境やセキュリティが充実しているかという点も、部屋探しの際にチェックされることが多いです。家賃を据え置きにする代わりに設備投資をするというのも、選択肢に入れておきましょう。
不動産投資の空室保証制度とは?
不動産投資をする際に「空室保証制度」という言葉を聞いたことはないでしょうか。
空室保証制度とは、不動産オーナーが毎月一定の保証料を支払うことで、空室期間の家賃を保証してくれる制度のことをいいます。
業者やサービスにより内容は異なりますが、一般的には空室時に家賃保証会社から、家賃の80~90%を受け取ることができます。
空室保証のメリット
空室保証制度のメリットは何といっても空室になった際のリスクヘッジになることです。
不動産オーナーにとって、収入が大幅ダウン、もしくはゼロになる可能性のある空室リスクはどうしても避けたいものです。空室保証がついていれば、その心配も軽減することができます。
また空室時も必要最低限の保証が受けられる空室保証をつけていれば、ローンの返済が滞る可能性も下がるので、金融機関からの融資も受けやすくなるといえます。
空室保証の落とし穴
一見、不動産オーナーからすると、空室保証制度は非の打ちどころのない素晴らしい仕組みに思えるかもしれませんが、仕組みを正確に理解していないと損をすることもあります。
空室保証では、入居者の有無に関わらず一定額の保証料を支払う必要があるということを忘れてはいけません。空室にならなければ、保証されることもないため、保証料は保険金の「掛け捨て」のようなものです。入居率が高い物件こそ空室保証がついているというのはよくある話で、保証会社もリスクを抑えながら儲けを出すことを目的としているのです。
また、先に述べましたが空室時に保証されるのは家賃の80~90%程度であり、家賃分満額が得られるわけではありません。つまり、入居率が高い物件であり空室期間がほぼないというケースの場合は、空室保証をつけない方が収入は大きくなる可能性があります。
これらのことから空室保証は収益よりも安定を重視したい方向けの制度だといえます。
さらに空室保証制度は「家賃の保証」だけを行う仕組みであり、管理会社は別で見つける必要があるということも覚えておきましょう。
家賃や初期費用はキャッシュレス決済がおすすめ
昨今、クレジットカード決済やキャッシュレス決済などが、あらゆる場面で浸透してきており、それはアナログな文化が根強い不動産業界でも同じことがいえます。
家賃や初期費用をキャッシュレス決済にすることで、空室リスクや滞納リスクを軽減できる可能性が高まるのです。ここからは、不動産業界とキャッシュレス化の変遷や、キャッシュレス決済にしてもらうことにより享受できるメリットなどについて解説していきます。
なぜ賃貸業界は現金払いのままだった?
PayPayやLINEペイなどのキャッシュレス化が急激に進む中、賃貸業界だけはなぜか現金でのやり取りが主流のままでした。
2018年9月に発行された「NIRA総研 キャッシュレス決済実態調査」によれば、家賃や管理費など住居関連にまつわる費用についてはやはり現金がメインであることが分かっています。
【家賃・管理費等の支払い状況】
①口座引き落とし……49.2%
②現金……24.9%
③クレジットカード……11.7%
これらの費用をオーナーに直接手渡ししている賃貸住宅もまだまだ存在しています。
このような背景として、根強い現金主義な社会性もありますが、オーナー自身が所有物件に住んでいて、入居者とコミュニケーションをとるためや現状把握のために直接の手渡しを希望しているというケースもあります。
また、不動産仲介業者や管理会社、さらにはオーナーからしても、クレジットカードを始めとするキャッシュレス決済を導入してしまうと、運営会社への手数料が発生して、収益が下がるということもあり、消極的な姿勢であったことも挙げられるでしょう。
キャッシュレス化の動き
上で述べたような背景により、キャッシュレス化に消極的であった賃貸業界ですが、昨今、大手企業が管理する賃貸物件ではクレジットカードでキャッシュレス決済に対応できるケースが出てきています。
中小企業であってもクレジットカードやコード決済に対応し、家賃や初期費用をPayPayなどで支払えるところもあるようです。
他にもクレジットカード払いを後押しするサービスや仕組み、キャッシュレス決済への柔軟な取り組みが見られるようになってきました。
今後は賃貸業界でもキャッシュレス決済が普及し、双方がより利便性の高い契約を結べるようになってくるでしょう。
キャッシュレス決済のメリット
これまで口座引き落としや銀行振り込みで支払いをしてきた(されてきた)場合は、急なキャッシュレス化に戸惑うかもしれません。
しかし、実際には管理会社やオーナーにとっても、また入居者にとってもメリットが多いといえます。
たとえば、スーパーやコンビニなどでキャッシュレス決済をすると、支払った人に数%が還元されます。現金を取り出してお札や小銭を数えて出して……という手間から解放されるのはもちろんのこと、現金支払いの場合には還元されないポイントや現金が電子マネーとして還元されるのは入居者にとってはメリットだといえます。
社会的にはキャッシュレス決済を利用できるシーンは増えていて、それに伴うメリットを享受できることに消費者も気づいてきています。
実際に30歳未満を対象にした調査では、家賃や初期費用をクレカで支払いたいという割合は社会人で75%以上、学生では50%以上という結果が出ています。「ポイントやマイルが貯まる」「手間が省ける」「楽だから」という声が多かったようです。
今後、賃貸業界でますますキャッシュレス化が進めば、キャッシュレス決済ができない物件は選ばれにくくなる可能性もあります。
さらに、キャッシュレス決済をしてもらうことにより、仲介業者や管理会社、オーナーサイドもメリットを享受できます。
キャッシュレス決済にしてもらうことで、手数料はかかってしまうものの、入居者の家賃滞納や未払いを防ぎやすくなるでしょう。
また、契約者がクレジットカードを所持している時点で信用力が担保できるのもメリットでだといえます。
最後に
今回は、空室リスクに陥ってしまう原因と対策を始め、空室保証制度や賃料のキャッシュレス決済について解説してきました。
空室リスクは不動産投資を行ううえで、最も発生しやすいリスクの一つですが、適切な対策をすれば解消できるものだといえます。また空室になって初めて対策措置を考えるのでは遅いです。
定期的に情報収集をし、入居者のニーズを押さえた対策を先んじて行うことが、空室リスクを避けるうえで最も効果的だといえます。
さらに今後は、キャッシュレス決済への対応も入居者ニーズを押さえた空室リスク対策の一つとなってくることが予測されます。時代の流れを汲み取って先進的な不動産投資をするよう心がけましょう。