不動産投資をもっと知る
家賃保証のある不動産投資にからくりはある?空室リスクがなくなる理由とは
Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/users/2/asucre-partners/web/cms/wp-content/themes/owners-journal03/single.php on line 20
不動産投資を行う上で、誰もが「空室リスク」を抱える可能性があります。どんなに安く物件を購入できても、入居者がいなければ家賃収入はゼロであり、毎月赤字を出し続けることになってしまいます。
しかし、そんな空室の心配をすることなく、毎月保証された一定の収入を受け取ることができるのが「家賃保証」です。なんだか夢のような話ですが、家賃保証は本当に空室へのリスクを解消できるのでしょうか。
近年、安易にサブリース契約を結んでトラブルに巻き込まれたとういう話をニュースなどで見かけることもあります。
今回は、家賃保証やサブリース契約についての基礎知識から、家賃保証のメリットやデメリットに加え、家賃保証契約をする際の注意点などを解説していきます。不動産投資を始めようと考えている方にとっては、ためになる内容となっておりますので、ぜひ読んでみてください。
記事INDEX
家賃保証とは
一般的な不動産投資では、投資している物件に入居者がいなければ、家賃収入はゼロとなります。ところが家賃保証の契約をしている場合は、空室が発生しても、毎月一定の賃料が管理会社から支払われます。これにより、オーナーは投資している物件が空室であろうが、入居者が家賃の支払いを滞納していようが、安定した収入を得ることができます。
この家賃保証制度のことを、サブリースとも呼びます。
サブリース契約の仕組み
サブリース(契約)とは、オーナーが所有している賃貸物件をサブリース会社が一括で借り上げ、他の入居者へ貸し出す(転貸借)ことをいいます。ざっくりいうと「又貸し」や「転貸し」です。一般的に1棟マンションや1棟アパートの全部屋をサブリース会社が借り上げるため「一括借り上げシステム」とも呼ばれています。
オーナーから見ると借主は「サブリース会社」ということになります。サブリース会社は借主ではありますが、実際に住むわけではなく、さらに第三者である一般の入居者へ貸し出す(転貸借)ことにより「転貸人」の立場となるわけです。
実際に部屋に住んでいる入居者は「転借人」といった立場になりますが、入居者にとってはサブリース会社から部屋を借りていることになるので、サブリース会社へ家賃を支払います。
そして、サブリース会社は設定された家賃から10~20%程度の運用手数料を差し引き、残った賃料を「保証料」としてオーナーへ支払うという流れがサブリース契約と呼ばれています。
サブリース契約では「保証料」の名の通り、空室が出てしまったとしてもサブリース会社からの支払いが保証されるのが大きな特徴です。さらに、保証料だけでなくサブリース会社が責任を持って入居者への貸し出しを行うので、一般の管理会社に管理を任せるのと同様に入居者の募集から家賃の回収、クレーム対応といった運用・管理業務も一任することができます。
空室の心配からも、運用の手間からも解放され、一括して任せることができるのがサブリースの魅力でしょう。
家賃保証のメリット・デメリット
実際に入居者がいなくとも、サブリース会社から賃料を受け取ることができるという点から家賃保証制度は魅力的でしょう。ただし、家賃保証には、良い面だけでなくデメリットが存在することも事実です。メリットとデメリットを理解した上で、契約をするかを検討することが大切です。ここからはサブリース契約のメリットとデメリットを確認してきましょう。
メリット
まずはメリットから見ていきましょう。
①空室リスク・滞納リスクを避けることができる
サブリース契約のもっとも大きなメリットは空室、滞納リスクを回避できることです。そもそも不動産投資において収入のほとんどを占める「家賃」が入ってこなければ、 収益を得るどころか赤字経営に転じてしまいます。不動産投資は家賃収入が無い状態でも、
- ローン返済
- 設備や建物の修繕費用
- 固定資産税、都市計画税
- 火災保険、地震保険料
- 管理費、修繕積立金(区分マンション)
これらの支出が発生します。その点サブリース契約では、契約期間中、サブリース会社から一定額の保証料が毎月入ってくるので、計画的に支出に備えることができます。
また、空室リスクと同様に怖いのが、「滞納リスク」です。サブリース契約は、この滞納リスクに関しても強みを発揮します。サブリース会社が貸主として第三者に貸し出ししているので、サブリース会社が滞納の処理も行います。もし、家賃の滞納が発生し、サブリース会社に家賃の入金が無かったとしても、オーナーにはサブリース会社から毎月保証料が支払われるので、赤字経営の心配はありません。
②運用、管理業務を一括して委任できる
サブリース契約では入居者の募集から、家賃の回収、建物管理、クレーム対応、退去時の立ち会いなど、ほとんどの運用・管理業務を一任できます。
通常の管理だけを任されている不動産会社と違い、サブリース契約を結んでいる会社は入居者と直接賃貸契約を結ぶので、入居者からの家賃収入が自社の売上へと繋がる割合が大きく、積極的に運用・管理業務を行う会社が多いのです。
毎日忙しいサラリーマンや自営業者など、不動産投資に多くの時間を割くことができない人にとって、運用・管理業務を一括して委任できるのは、利便性も高いでしょう。
③確定申告が楽になる
不動産所得が発生した場合は、確定申告をする必要があります。特に、複数の部屋を所有しているオーナーは、一部屋ごとの家賃入金や入退去時の費用などを細かく分けて計上しなければならず、非常に手間がかかります。しかし、サブリース契約を組んでいれば、サブリース会社との賃貸契約として一本化できるので確定申告の収支管理もシンプルに行うことができます。
デメリット
ここからはデメリットについて解説していきます。
①収益の最大化が難しい
前述の通りサブリース契約では「設定された家賃」の10~20%ほどの手数料をサブリース会社に支払うことになります。空室のリスクが無くなるならば決して高く無いように感じますが、実はこの「設定された家賃」がポイントなのです。
サブリース会社も商売なので、ほぼ空室が出ないように家賃を相場よりも低く設定をして募集をします。オーナーが相場通りの家賃で募集をかけて家賃を受け取るのと比べると、大きな差が出るでしょう。また、一般的にオーナーは礼金や敷金、更新料なども受け取ることができません。そのため当初計画していた利回りよりも低くなることが想定されます。
②保証額の減額改定
サブリース契約はある一定期間の契約になっていますが、それは契約期間中の家賃保証額を約束するものではありません。建物設備の経年劣化や周辺相場の変化によって空室が多くなってくると、サブリース会社は保証額の減額を行います。サブリース会社も空室がある状態で保証料を支払うことは避けたいので、数年に一度のペースで減額しようとします。契約当初の保証額のまま変動なく継続していく、というケースは少ないのが実情です。
サブリース会社が破綻するリスクがある
サブリース会社も法人ですので、当然倒産するリスクがあります。万が一、サブリース会社が倒産した場合、通常はサブリース会社と入居者の賃貸契約はオーナーに引き継がれます。
しかし、サブリース会社は基本的に資金繰りが悪化して倒産するケースがほとんどなので、数ヶ月分の保証料や預かっている敷金等の回収はほぼ難しい上に、入居者に対しては敷金返還の債務が残るなどオーナー側に大きな損失が発生してしまう可能性があります。
「家賃保証」は罠?
スマートデイズの「かぼちゃの馬車」事件やレオパレスの集団訴訟事件などを代表として、家賃保証制度を発端としたトラブルは増加しています。これは国土交通省が注意喚起を促すほどです。(国土交通省「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」)
特に契約の改定による保証料の下落や、契約条件がトラブルのきっかけになることが多いです。あらかじめサブリース契約の仕組みやリスクを理解していれば、「◯◯年家賃保証」といった文言だけに誘惑されサブリースの罠に引っかかることもないでしょう。
サブリースの事例
実際にサブリースを活用した事例を見てみましょう。
Aさんは当初、地方の高利回りの木造築浅アパートを購入してサブリース契約を結びました。購入当初は上手く運営していましたが、木造であるがゆえに劣化も早く、さらに地方ですので需要にも限りがあるエリアです。特別なノウハウやテコ入れを行う時間も無いため、徐々に人気が無くなり、空室が多くなると家賃の保証額もどんどん減少してしまうことになりました。その結果、保証額よりローン返済額の方が多い赤字の状態に突入してしまいました。
なんとかアパートを売却したAさんは今回の反省を活かして、需要の高い都内の人気エリアの区分ワンルームマンションを購入しました。地方の物件と比べると表面上は高利回りとは言えませんが、鉄筋コンクリートで耐用年数が長く、駅からも近い上に大学も複数存在するエリアです。10年経過しても高い入居率を維持している物件です。その結果、家賃の保証額も緩やかな減少で収まり、今も安定した賃貸経営を継続しています。
家賃保証契約の注意点
ここまで解説してきたように、安易な考えで家賃保証契約を結んでしまうと、後々痛い目を見ることになるかもしれません。契約前にできるだけ細かく契約内容をチェックしておくことが大切だといえます。
ここからは、家賃保証契約を結ぶ際に注意するポイントについて解説していきます。
契約更新時には条件の見直しがある
一定額の保証料が安定して入ってくる家賃保証ですが、その額はずっと変わらないわけではなく、一般的には2年毎に価格の見直しが入り、保証料は下げられます。
「30年間家賃保証」などの謳い文句を見かけることがありますが、30年間同じ額の保証料が支払われることはほぼないと思っていただいて問題ございません。高い確率で、数年後に保証料の減額や場合によっては、契約の打ち切りをされることもあります。
オーナーに不利な条件がないか確認する
賃料の見直しのタイミングや免責期間をはじめ、解約の仕方などオーナーに不利な条件で契約が組まれていることはよくあります。特に修繕工事が必要になった場合に業者を選択できるかは確認しておくべきです。サブリース会社と工事業者が裏で手を組んで、高額な工事費用をオーナーに支払わせるといったケースもなくはありません。
契約書を細部まで読み込み、不明点があればすべて解消しておくのが良いでしょう。
サブリース会社は信用できるか確認する
数として多くはありませんが、悪質なサブリース会社は存在します。
そのような会社に引っかからないためには、過去に行政処分を受けていたり、大きな問題を起こしていないかを事前に調べておくのがよいでしょう。
また、サブリース会社が潰れてしまうと、保証自体が亡くなってしまうので、会社の経営が安定していそうかについても、確認にしておきましょう。
サブリースを活用して不動産投資を成功させるには
サブリースを活用して不動産投資を成功させる秘訣は、なによりも「信頼できる不動産会社」を探すことです。サブリース契約を行っている不動産会社は多いため、どの会社が良いのか判断することは難しいと思います。それどころか、優良な不動産会社を見つけること自体が難しいと感じている人もいるでしょう。
まずは、自分の行いたい投資スタイルと、その不動産投資会社がマッチしているかどうかを確認しましょう。一棟投資なのか、区分投資なのか、その不動産投資会社の経営実績や口コミなどを参考にして各社を比較していきます。さらに、信頼できる不動産会社を探すための入口として有用なのが「サブリース契約を行っている不動産会社の投資セミナーへ参加すること」です。
不動産会社の特徴や実績を確認できる上に、直接サブリース契約についての質問等も行えます。営業マンの人柄や雰囲気も確かめられるので、検討するにはかなりオススメです。
最後に
ここまで、家賃保証やサブリース契約についての基礎知識から、家賃保証のメリットやデメリットに加え、家賃保証契約をする際の注意点について解説してきました。
サブリース契約について様々な面から解説しましたが、特に押さえておきたいのは下記の3点です。
- サブリース契約は空室、滞納リスクを回避して安定した賃貸経営システムを構築できる
- 収益の最大化は難しく保証額の下落リスクもあるが、プロに一括して運用管理を任せられる
- 後悔しないためにも、セミナーへ参加して会社の確認や契約前の内容のチェックが重要
サブリース関連の事件やトラブルが実際に発生していますが、サブリースの制度自体が完全悪なわけではありません。実際に家賃保証制度を利用して、不動産投資で成功している人も存在します。
大切なことは、サブリース契約のメリット、デメリットをしっかり把握して、経営プランを考慮しながら検討するです。闇雲にサブリース契約を希望するのではなく、自分の投資プランにマッチする契約を結ぶ意識を持ちましょう。