はじめての不動産投資
不動産投資の詐欺事例を紹介!実際にあった悪質業者の手口
トラブル不動産投資営業悪質業者被害
「悪徳業者に騙されて大損した」「営業者の口車に乗せられて自己破産する羽目になった」など、不動産投資関連の怖い話は後を絶ちません。
不動産投資を始めようと思っている人が、このような情報を見聞きすると、踏み出すのに抵抗ができてしまうはずです。
もちろん優良な不動産業者が多いものの、悪質な手を使う業者が一定数存在するのも事実です。だからこそ知識として悪質な不動産業者がどのような方法で人を騙すのかを知っておく必要があります。
そこで今回は、実際に起きている不動産投資における詐欺の事例やその手口に触れたうえで、悪徳な不動産業者に騙されないために抑えておきたいことについて解説していきます。
不動産投資における詐欺は存在する
冒頭で述べたよう不動産投資の世界では、悪質な不動産業者が実際に存在しています。
そのような業者は特に、知識のない初心者をターゲットにします。
被害にあうと破産や法的対処など、不動産投資はおろか通常の生活も送れなくなるほどの経済的ダメージを受けることもあります。
だからこそ、悪質な不動産業者に引っかかるなどということのないように、あらかじめ知識を蓄えておく必要があります。
不動産投資詐欺の被害件数
実際に不動産投資で被害にあったという人はどのくらいいるのでしょうか?
以下は2019年に独立行政法人国民生活センターが公表した、投資用マンションを購入した人からの相談件数と平均契約金額の推移を表したデータの抜粋(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20190328_1.pdf)です。
国民生活センターは、消費者に起きた様々な問題を取り扱う相談窓口であり、以下のように悪徳業者の被害にあった方の相談件数なども発表しています。
このデータで注目したいのは、全体の相談件数が減少傾向にあるのに対して20代の相談者が増加している点です。
2018年度に関していえば、1,350件の相談件数のうち1/3に近い数字が20代の相談者です。
また、平均購入金額も増加傾向にあることから、知識のない若者が不動産投資詐欺のターゲットにされるケースが増えていることが分かります。
また国民生活センターの調査によると、以下のような相談事例が増えているとのことです。
☑不安に思いながらも高額なローンの契約を行った(事前相談なし)
☑強引な勧誘を断り切れなかった
☑金融機関の融資で虚偽申告を指示された
さらに契約後の相談が多いことから、悪徳業者はターゲット一人一人に合わせた巧妙な手口で勧誘しているといえます。
不動産投資初心者は特に、不安や懸念点を契約前に解消しておくのはもちろんのこと、不業者の評判や過去の処分なども慎重にリサーチする必要があります。
不動産投資詐欺の手口
それでは実際に悪質な不動産業者が行っている手口をみていきましょう。
手口1:勧誘電話が多く強引に会おうとしてくる
まずは不動産会社の営業マンからの勧誘の電話がとにかく多いというケースです。あまりにも頻繁に電話がくる場合は悪質業者と疑ってもいいでしょう。
その理由として、悪徳業者の営業マンは、高いノルマに追われている結果、押し売りや契約を急ぐパターンが多く、物件の購入者のライフスタイルや経済事情などを考慮しないという傾向があるためです。
また、いきなり自宅にきて押し売りや契約を迫るといった業者もいるので注意が必要です。
手口2:とりあえず申込書を書かせる
検討段階にも関わらず購入者に申込書を記入させ、キャンセルができないように仕向けるという被害事例も多くあります。購入申込のみであればキャンセルはもちろん可能ですが、悪質業者は正常な判断を鈍らせるような言動で言いくるめてくるので、そのまま押し切られてしまうケースもあるようです。
とくに「とりあえず申込書を書かせる」スタイルの業者には注意が必要です。
手口3:メリットだけを伝える
不動産投資にはメリットだけでなくデメリットもあります。また、どんなに好条件な物件でも運用に必ず成功するとは限りません。しかし、悪質な業者は買い主に対してメリットだけを伝え、高額物件を購入させることがあります。
「家賃保証がある」「今後値上がりが期待できる」「利回りが高いため儲かる」「節税対策になる」といったような言葉を並べ、リスクなどの説明を受けないまま購入を決めた、買い主が契約後に被害を被るという事例はよくあります。
利回りや節税効果などに関しては運用によって差が出るため、投資のプロであってもあくまでも予想しか立てられません。メリットだけを伝えて購入させようとする不動産業者はまず疑いましょう。
実際にあった悪徳業者の詐欺事例
ここからは実際にあった悪徳業者の詐欺事例について見ていきましょう。
国民生活センターに実際に寄せられた相談内容を抜粋して紹介します。
しつこく勧誘され、事業者が怖くて契約をしてしまった
社用携帯に不動産業者から突然電話がかかってきて、投資の話をされた。初めは断ったがあまりにしつこく電話がかかってくるので渋々会う約束をした。
実際に会ったところ、「ワンルームマンションのオーナーになれば負担なく資産を持てるし家賃収入も保証する」と言われたので、「高いので微妙です」と答えると、逆ギレされ深夜0時半まで拘束された。
その後もしつこく電話がかかってくるので、きっぱり断ろうと思いもう一度会ったが、また担当者が怒り出したら怖いと思い、購入申込書にサインしてしまった。しかし物件やその後の詳細については説明もなく不安だ。高額でありとても支払えないのでやめたい。
(国民生活センター:「20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!」より引用)
家賃保証があると言われて購入したのに、赤字になっている
数年前、不動産業者から「投資用マンションを買わないか」と電話があり会って話を聞いた。
不動産業者からは「空室になっても家賃保証があるから大丈夫。築浅のファミリー向けマンションなので将来自分で済むことも可能。ローンは家賃収入で十分まかなえる。」などと説明を受け、約3,500万円のマンションを購入し、銀行2社で35年のローンを組んだ。
その後、マンションに固定資産税が発生し、ローンの支払いは家賃収入では足りず、毎月2万円の赤字が発生している。また後から家賃保証は5年間しかないことがわかった。マンションを売却してもローンが残る。事業者の説明に虚偽があったので補償を求めようと思う。(国民生活センター:「20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!」より引用)
その他にも以下のような被害が発生しています。
☑購入資金を支払ったが物件がいつまでも譲渡されなかった
☑説明時と購入時の必要資金額が大きく異なった
☑物件そのものが存在しなかった(虚偽の情報を記載している)
☑ローンなどの契約で損をした
マンション経営詐欺の手口に騙されるな
事例でもあったように、ワンルームマンション経営の被害は非常に多くなっています。
ワンルームマンションへの投資は一棟のアパートやマンションに投資するの比べると、初期投資が高くなく、20代やサラリーマンでも手を出しやすいため人気です。
そもそも不動産投資は、物件情報の掲示が事前に為されるため、株やFX等と比べ騙されにくいはずです。
ただそこが落とし穴でもあります。不動産投資の素人からみると不動産業者は皆不動産投資のプロのように思えてしまい、不動産業者の言うことならと安心して信じてしまった結果、失敗するというケースはザラにあります。
不動産投資も他の投資商材と違わず、自分で勉強して判断する力をつけていくことが必須なのです。
サラリーマンは悪徳業者のカモ?
不動産投資の詐欺においてサラリーマンは悪徳業者のカモにされやすい傾向にあります。
まず一つにサラリーマンは金融機関から融資を受けやすいという理由からです。
サラリーマンは給与が安定しているため与信があります。更に年齢や勤続年数、勤務先等の情報によって経済力を金融機関に説明しやすいです。
キャッシュで一括購入せずとも不動産投資ローンを組めば、マンション経営は実現可能なので、悪徳業者からしてもサラリーマンは物件を購入させやすいといえます。
二つ目は、サラリーマンのほとんどが不動産投資の初心者であり、知識に乏しいという理由からです。不動産投資の経験がなく右も左もわからないサラリーマンは、悪徳業者の巧妙な営業文句を見抜けないことが多く、カモにされやすい傾向にあります。
不動産投資詐欺に騙されないために
不動産投資詐欺に騙されないためには、不動産投資についての知識を身に付けることが最も効果的です。
ただ、初心者の場合だと深い知識をすぐに身に付けることが難しいため、まずは悪徳業者を見抜く力を備えるのがおすすめです。
悪徳業者の見極め方
悪質な不動産業者は大抵、買い主の利益よりも自社の利益を優先します。場合によっては、二重譲渡などの詐欺を働くこともあります。
そのような業者は対象物件が如何に魅力的かだけを語り、購入者のボトルネックになるようなリスクやデメリットについては語りません。
たとえば、以下のような言葉で勧誘してくる営業マンには、注意が必要です。
☑生命保険の代わりになる
☑年金対策になる
☑必ず儲かる
不動産投資を行う上で、節税などのメリットが発生することはあります。しかし、悪質業者の場合には、そもそもどのような仕組みや条件が整えば、節税効果が発揮されるのか等の説明を買い主に行わないパターンが多いです。
また、専門用語ばかりを使って説明をしてくる業者も危険です。買い主ファーストで考えていれば、不動産投資に詳しくない人にでも理解できるような言葉遣いで、丁寧に説明をするのが当然です。
その反対に、初心者にもわかりやすい言葉で、リスクの説明もきっちりとしてくれる業者は優良な業者である可能性が高いといえます。
不動産投資詐欺の相談窓口
もし悪質な不動産業者の被害に遭ってしまった場合は、以下の4つに速やかに相談しましょう。
1.国土交通省
悪質な勧誘や自宅への押しかけなどに関して相談することによって、営業停止・免許取消などの行政処分を執行してもらうことができます。
2.国民生活センター(消費者生活センター)
全国各地にあり、専用番号もあるので電話相談などがしやすいです。不動産に関しては、契約時の金銭的なトラブル、契約後の解約相談なども受け付けています。
3.法テラス
不動産売買は、法律行為を伴う契約です。そのため、内容によっては法律の専門家に相談する必要もあるでしょう。そして、法律事務所を利用する前に、法テラスに相談してみましょう。法テラスは経済的に厳しい場合に、無料で法律相談ができる点がメリットです。
4.警察
被害届を出しておくことで相談実績が残ります。大きな犯罪グループの可能性もあるので、被害にあったら警察に届け出るようにしましょう。
最後に
これまで解説してきたように、悪質な手口を使って、買い主を陥れる業者は残念ながら存在します。
しかし、契約前・契約後であっても相談、解決できる場所は多く存在しているため、有効に活用していくことが大切です。今後不動産投資を行っていく場合には、悪質業者の手口を把握したうえで、優良な不動産投資業者を選定することを念頭におきましょう。
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