はじめての不動産投資
個人信用情報は回復する?過去の滞納が新たなローンに与える影響とは
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不動産投資や住宅購入をするにあたって、相当な大金を持っている人を除き、「融資」は避けて通ることができません。しかし、いざ購入物件を決め、融資に進んだときに、審査が下りずに物件が購入できないケースがあります。
これにはさまざまな理由がありますが、場合によっては「ブラックリストに載っている」「信用情報に傷がついている」という状態になっている可能性があります。
言葉は聞いたことがあっても、言葉の意味や仕組み、なぜこのような状態になってしまうかについては知らない人も多いと思います。
そこで今回は「ブラックリストに載る」状態についてや、「信用情報上に記載されてしまうのはどういう場合か」「自分の信用情報が融資の審査にどのような影響を及ぼすか」等といったことを中心に詳しく解説していきます。
ブラックリストとは
「個人の信用情報がブラックリストに載る」ということを耳にしたことがある人も多いでしょう。しかし、実際には「ブラックリスト」というものが存在するわけではありません。
銀行や貸金業者が融資をする際には、信用情報機関に借主の過去の支払い状況等を問い合わせることができる仕組みがあり、この信用情報上で支払い遅延が起きている場合などは、借り入れができなくなることがあります。この状態を俗に「ブラックリストに載った」と表現することがあるのです。
つまり、「ブラックリストに載った」というのは、借り入れができなくなるような何らかの問題が、信用情報上に記載されている状態を表しています。
個人信用情報の仕組み
では、個人信用情報というのはどういうものを指すのでしょうか。信用情報とは、先ほど書いたように、信用情報機関に登録された過去の支払い状況等のことですが、更に詳しくいうと、下記の4つがこれに該当します。
- 氏名、生年月日等の個人情報
- クレジットカードやローンの申込、契約内容
- 月々の返済や支払い状況
- 借入残高
これらの情報はクレジットカードや融資の申込みをしたときに、クレジットカード会社や銀行等が照会するだけでなく、同時に情報の更新もされていきます。
個人信用情報といっても、友人関係や趣味、思考などのプライベートな情報が共有されているわけではなく、あくまでも上記のような支払いや割賦契約関連に関するもののみが、信用情報機関に記録されています。
個人信用情報が必要なケース
個人信用情報は日々の生活ではあまり気になるものではありませんが、このような情報が必要になることがあります。それはどういった時でしょうか。具体的には、次のような時に必要となります。
- ・クレジットカードを作るとき
- ・カードローンなど、ローンを組むとき
- ・住宅ローンや不動産投資ローンを借りるとき
- ・キャッシングや消費者金融からお金を借りるとき
- ・スマートフォンの割賦払いをするとき
- ・ツケ払いや後払いを利用するとき
身近なところではクレジットカードを作ったり、スマートフォンの割賦払いをする際などです。意識していないところでも、個人信用情報が必要になっているのです。
個人でも信用情報の開示はできる?
個人で信用情報を調べたい場合には、「信用情報機関」に問い合わせる必要があります。
「信用情報機関」というと、国が運営しているような大きな機関に思えますが、信用情報機関とは下記3つの総称を指していて、どれも国の機関ではありません。
- ● 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
- ● 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- ● 株式会社日本信用情報機構(JICC)
信用情報機関では、消費者のローン利用やクレジットについての信用情報の収集・管理・提供・開示を行う役割があります。
金融機関等の「貸主」が主に利用する信用情報ですが、個人の「借主」である我々でも、個人信用情報の照会(開示)手続きを行うことが可能です。
開示を行うには大きく分けて以下の3つの方法があります。
- ・窓口で開示
- ・郵送で開示
- ・インターネット開示
どの方法でも開示される内容に差異はありませんが、窓口は平日の日中のみだったり、郵送は申込から郵送期間を含めて1週間~10日ほどかかったり、何かと不便です。そのため、インターネットでの開示が便利です。
もし、自分の信用情報に不安があるのであれば、インターネットで確認してみるのも良いでしょう。
また、開示には手数料がかかり、開示方法によって手数料が異なります。
信用情報開示で得られる情報
信用情報の開示を行うと、下記の内容を知ることができます。
- ・クレジット情報
- ・申込情報
- ・利用記録
- ・参考情報
まずクレジット情報ですが、これは信用情報機関に加盟するクレジット会社等と契約したクレジットカードやローン等の契約内容や支払状況、残高などの情報です。
次に申込情報ですが、新規にクレジットやローン等を申し込んだ際に、信用情報機関に加盟するクレジット会社等が支払能力を調査するために確認した情報です。
利用記録は信用情報機関に加盟するクレジット会社等が、クレジットやローン等の利用途上などにおける審査のために、信用情報を確認した記録です。
最後に参考情報ですが、信用情報機関に登録された「本人申告情報」などの付帯的な情報が得られます。
個人信用情報は回復する?
普段のクレジットカードの申込みや、無担保ローンなどが通らない場合は、信用情報に傷がついている可能性があります。傷がついているとは正確には信用情報に「異動」の文字が記録されていることです。
借金をしている人が支払い滞納をしていれば、信用情報に傷がついているのは容易に想像がつきます。しかし、借金をしている自覚が薄いもの、たとえばスマートフォンの割賦払いや奨学金の返済が滞っていると、信用情報に傷がついてしまうので注意が必要です。
信用情報に傷があると融資やローンに影響を与える
個人信用情報の傷は融資やローンの審査でマイナスな影響を与えます。好条件で融資を受けにくくなることはもちろん、融資自体をお断りする金融機関もあるでしょう。
貸主側からすれば、“信用情報に傷がある=返済能力が高くない”という判断になるため、会社の不利益になりかねないリスクの高い人には融資をするのが憚られるのは当然です。
信用情報に傷がつく行動とは?
信用情報に傷がつく行動を下記にまとめました。当たり前だと思うようなものから、「え、こんな些細なこと?」というものもあるので、しっかりと覚えておきましょう。
クレジットカード支払いの延滞
消費者金融や銀行カードローンの返済遅延
金融機関からの強制解約
スマートフォン本体の割賦契約の支払い遅延
保証会社経由の家賃滞納
奨学金の返済滞納
クレジットカードや消費者金融への多重債務
債務整理を行う
個人信用情報の回復
では、個人信用情報に傷がついてしまったらその記録は一生消えないのでしょうか?これは基本的にNOです。なぜなら、個人信用情報は永続的に記録されるわけではないからです。
延滞情報や債務整理の場合、一般的には下記の条件が整えば、個人信用情報は回復すると言われています。
- CIC場合:完済から5年以上が経過している
- JICCの場合:完済から1年以上が経過している
- KSCの場合:完済から5年以上が経過している
返済を完遂し、その後は無理な借入や支払遅延をしなければ、逆に信用が積み上がって、再びローンやクレジットの発行が可能になります。
信用情報に傷があっても住宅ローンは組める?
信用情報に傷がついていても住宅ローンを組むことができるケースはあります。
ただ基本的に信用情報に傷がついていると不利な状況であることは否めません。絶対に通らないわけではないですが、通ったとしても希望の額や条件で融資を受けられる可能性は低いでしょう。
融資を受けられないケースはもちろんのこと、借りることができても金利を高めに設定されたり、返済期間を短縮されたりする可能性があります。
ただし、融資をするかどうかは総合的な判断で決まります。そのため、傷がついていてもそれをカバーできるだけの信用や返済力を金融機関に示すことができれば、融資を受けられる可能性は高まります。
一番効果的なのは、頭金を貯めておくことです。例えば購入しようとしている物件の50%の頭金があれば、金融機関も貸し倒れするリスクが下がり、融資のハードルも下がるはずです。
信用情報に傷がある際の審査での注意点
信用情報に傷があることを自分で分かっていながら、バレないだろうとタカをくくって融資の審査を受けることはやめましょう。
住宅ローンに関わらず、金融機関が融資をする際には、必ず信用情報機関の信用情報を調査するので、傷があれば確実にバレます。
もし新居購入の話を不動産業者や家族と進めていて、いざ融資の審査に行ったら、「どこからも融資を受けれませんでした」なんてことになったら最悪です。
信用情報と聞いて思い当たる節がある場合は、事前に個人で信用情報を開示してもらい現状把握することをおすすめします。
不動産投資ローンの場合は?
信用情報に傷がついていれば、不動産投資ローンなんて組めるわけがないと思うでしょう。実際には完全にアウトというわけではありません。
住宅ローンと同様に、基本的には厳しいのは事実ですが、不動産は担保力があるため、無担保ローンとは異なり、融資が下りる可能性があるのです。
その物件が魅力的な物件で在ればあるほど、金融機関も審査に対して柔軟になるケースが多くあります。また、不動産投資会社と提携している金融機関であれば、ある程度融通を利かせてくれる場合もあります。
一方で、信用情報に傷がついていると、不動産会社からは良い物件情報が回ってこないというケースもあります。
不動産会社からの情報は購入力のある人に優先的に回ってくるため、融資がつかないと思われてしまうと、情報が回ってこなくなる可能性が高まります。
たとえば、不動産の情報が出るたびに、不動産会社に連絡し、内見や買い付けをしたとしても、融資付けが毎回できなかったとします。そうすると、実際に購入する力がない(融資を引けない)と思われてしまい、不動産会社からは「買えない客」と認定されてしまうかもしれません。
不動産会社も売れなければ、手数料が入らず商売にならないので当然ではありますが、情報は入りにくくなるでしょう。
最後に
今回は個人信用情報について解説してきました。意外と知っているようで知らないことも多かったのではないでしょうか。
信用情報に傷がつくと、信用を回復させるには5年の月日が必要となってしまいます。1度ついた傷はなかなか消えないため、日ごろから過剰なローンやクレジットカードの利用はしないように心がけましょう。
また、もしも今、家計が赤字になってしまっているのであれば、収入を増やすか、支出を減らす必要があります。今後の生活も含めたライフプランをしっかりと考え、個人信用情報の質を高めていくことが大切です。
個人情報や支払いに関するアドバイザーインタビューも合わせて読んでおきましょう。
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