はじめての不動産投資
【投資知識】今更聞けない「投資」と「投機」の違いとは
リスク投機投資資産形成
老後のための資産形成は、終身雇用が崩壊しつつある日本で大きな課題です。
政府でさえも、老後資金は自助努力によって形成することを述べています。そのため、将来的な資金対策は生きていくうえで必須項目だといっても過言ではありません。
しかし、資産形成を行うにあたっては、「投資と投機の違いがはっきりわからない」という方も少なくありません。そこで今回は、様々な商品に触れたうえで投資と投機の違いや目的について詳しく焦点をあてていきます。
「投資」と「投機」はどう違う?
資産形成は、自分の資金を用いて行います。この部分においては、投資と投機どちらにも共通する事項です。つまり、資産形成においては、どちらでも必要な金額を満たせれば問題ないと言えます。
そのうえで、投資と投機の違いは以下のようになります。
・投資は長期的な運用を行うもの
・投機は短期的な値幅に合わせて取引を行うもの
単純に運用期間だけの違いではなく、投機の場合は短期間でのトレードを繰り返すため、利回りを全く気にしません。そのため、投資と比較して長期間勝ち続けるためには、取引を行う株価や為替などを逐一チェックし、その変動を見極める必要があります。
対して、投資は長期的な運用が前提です。とくに投資信託や現物不動産投資などにおいては、短期間で利益を出すのは難しいといえるでしょう。しかし、将来的な値上がりに期待して運用することで、出資した資金以上のリターンが期待できます。
以下のように投資商品の傾向と運用の方向性を把握することが大切です。
商品名 | 傾向 | 運用の方向 |
---|---|---|
株 | 長期・短期どちらでも | 投資・投機 |
現物不動産 | 長期 | 投資・投機 |
・不動産投資型クラウドファンディング | 長期・短期どちらでも | 投資 |
・ソーシャルレンディング | 長期・短期どちらでも | 投資 |
・不動産小口化商品 | 長期・短期どちらでも | 投資 |
iDeCo | 長期 | 投資 |
NISA | 長期 | 投資 |
投資信託 | 長期 | 投資 |
金 | 長期 | 投資 |
FX | 短期 | 投機 |
仮想通貨 | 長期・短期どちらでも | 投資・投機 |
とくにこの中でも不動産は、非常に多くの商品があるものの、ほぼ全ての商品は1日単位で利益が発生するものではありません。不動産投資型クラウドファンディングやソーシャルレンディング、不動産小口化商品などもその傾向は同様です。
また、資産形成における代表的な商品である株式については、長期・短期どちらでも運用が可能です。もっとも長期的に保有し、値上がりが期待することが前提の場合は、投機ではなく、投資となるため、その違いを把握しておきましょう。
投資と投機を分かりやすく区別する
投資と投機を簡潔に分けると以下の通りです。あくまでも目的に応じてわけるという考え方で問題なく、資産形成に至ってはどちらでも資本を失うことがマイナスとなる点は変わりません。
・投資……長期的な資産運用
・投機……短期的な資産運用
どこまでが長期でどこまでが短気なのかが明確に決まっていないものの、日ごとにトレードを行うデイトレードなどは投機に当てはまるといえるでしょう。
投資の場合は、長期的な運用が前提として、値上がりや利回りをある程度把握したうえで資産形成を行っていく必要があります。
例えば、現物不動産投資の場合、物件の購入までの融資やその後の手続きの手間、上手く運用できたとしても出口戦略が必要です。この出口戦略は、家賃収入だけでなく、物件の売却を繰り返して希望を拡大していくなどの計画のことを意味します。ちなみに、現在では珍しいものの、地価などの値上がりだけを目的とした不動産の購入は不動産投機と呼ばれます。
投機に関しては、単純に安く購入し高く売ることが目的となります。そのため、多くの資金や手間が掛かる現物不動産などに関しては、投機を目的とした運用はほぼ不可能です。
加えて、仮想通貨などは、日に数万円以上の差額が生じることも少なくありません。数時間程度で、大きな利益が生まれることもあります。しかし、仮想通貨に対しても、ある程度取引量のある仮想通貨は、今後価値が向上するかを見越して購入しなければ利益を出すのは簡単ではないでしょう。
どの商品でも、つみたて以外や保証制度がない限り、元本保証はありません。その点を把握したうえで投機と投資を区別しましょう。
投資と投機を見誤ると大変なことになる!?
投資と投機はどちらもリスクとリターンも検討したうえで運用する必要があります。
ある程度、商品の傾向や市場の動きも知ることによって、リスク軽減が可能です。しかし、商品の性質などは上記でも触れたように投機に向かないものもあるため、混同は危険だといえます。
そのため、どちらにも影響のある資産運用の「投機リスク」を知っておきましょう。ちなみに、投機目的の不動産購入や運用はバブル期には、活況であったものの、現在はほぼ可能性は低いといえます。
投機リスクは、利益及び損失が発生するリスクのことを指します。投資においても、投機リスクは把握したうえで運用後行う必要があります。とくに政治、経済、法律的な規制、技術革新などは、利益だけでなく損失が発生する可能性があるため注意が必要です。
例えば、技術革新をテーマとして、製造業に焦点を当ててみましょう。
AI などの台頭によってオートメーションが進んでいる工場は増加傾向にあります。人間の仕事が減少する可能性もあるものの、会社の利益を上げつつ、人手不足を解消するためには有効な方法です。
製造業におけるオートメーションなどに関しては、導入の際の手間などに課題があるものの、上手く行けば、企業利益の向上につながるため、投資においてもプラスとなる可能性があります。
しかし、これはAI に対応できない企業が淘汰される動きにつながるため、対応できない企業の価値は落ちる可能性もあります。
また、国と国の間で設けられる法律的な規制も投資及び投機に影響をもたらします。とくに輸出や輸入制限、関税の税率などは、企業価値や株価などにも大きな影響があることも把握しておきましょう。
単純に値幅が大きいことをリスクと呼ぶため、資産運用分野におけるリスクはマイナスになるとは限らないことに注意が必要です。もちろん、リターンの幅が変動することは好ましくはないものの、そういった値幅の大きさに対応するためにも投機と投資は使い分けていくことが大切だといえます。
投資する際に気を付けておきたいこと
投資における注意点は以下のものがあります。
- 利益が出るとは限らない
- 元本保証はない
- 知識なしでは利益を出すのが困難
投資を行う際に気を付けなければならないのは、市場の状況や世界情勢も含めたうえで将来的な予測を立てながら運用したうえで利益が発生するという性質です。そのため、投資を行ったとしてもプラスになるとは限らないのが現状です。
例えば、株式の場合、会社が倒産するリスクと会社が成長する将来性のどちらも想定できます。
また、株式そのものの価値も倒産した場合はほぼゼロ、成長した場合は利益となります。しかし、やみくもに投資を行えば、資産が増加するわけではありません。大企業であっても、何らかの不祥事によって倒産するリスクは常に想定しておく必要があるといえるでしょう。
さらに、投資を行える商品が多数ある場合には、分散して投資を行うことをおすすめします。例えば、100万円の資金があるとした場合、以下のような選択肢を検討することが可能です。
・不動産投資型クラウドファンディングと株式
・ソーシャルレンディングと不動産小口化商品
・投資信託と株式
組み合わせそのものは、人によって異なるものの、1つの商品に対して全ての資金を使用するよりも、分散することによってリスクを軽減できる可能性が高まります。
また、長期運用を前提としている場合は、短期間での価格の変動に関して、変動の許容範囲を決めるなどのルールを策定しておきましょう。そうすることで、損失が大きくなるのを防ぎ、購入時よりも資産が減少したとしても、ある程度回復したタイミングで商品を買い直すことが可能です。
注意点を意識したうえで投資を行いましょう。
自分が向いているのは投資か投機か
実際に、資産運用を行う場合、その方法に人柄が反映されます。
例えば、以下のような場合は投資が向いているといえるでしょう。
・自分の生活費などを正確に把握している
投資は、利益になるとは限らないため、自分の生活に影響のない金額で行う必要があります。世界情勢や市場の影響を把握できたとしても、自分の生活に影響を与えない金額で投資を行う計画性も大切です。
そのため、資産運用と実生活を分離して考えられる人は投資に向いています。
・多少の価格変動に動じない
実際に、ネット証券会社を利用している方の中には、前日と比較してどのぐらい変動があったのかを細かくチェックしている方も少なくありません。
しかし、投資信託などは、元々激しい値動きのある商品ではありません。リターンなどに関しても半年以上下がり続けているなどの場合は、損切りをおこなっても問題ないものの、長期的に見れば上がっていく可能性を秘めているものも非常に多くあります。
この場合も、自分で決めたルールに則って判断する必要があるものの、冷静にこれからの世界情勢や伸びていく分野を検討すれば、投資信託などでも利益を出すことは難しくありません。
そのため、筋をある程度チェックしながらも冷静さを失わない方は投資に向いているといえるでしょう。
対して、投機に向いている方の傾向は以下になります。
・購入した商品の価格が逐一気になる
株式をはじめとして、多くの商品は一日で数倍となる可能性は低いといえます。とくに、不動産投資では、現物不動産以外は、ある程度の期間が必要です。また、 NISA や iDeCo などに関しても長期間の運用が前提であり、短期間であればそもそも投資のみをする必要はないといっても過言ではありません。
しかし、為替などで利益を得る FX や将来性のある仮想通貨などでは、短期的なトレードによって利益を生むことも可能です。とくに商品を購入した場合に、その値段が気になって仕方ないといった場合には、投機を目的としたトレードの方が心理的な負担は少ないでしょう。
どちらもリスクはある?どちらが儲かるのか
投資と投機の共通事項としてどちらにも以下のリスクがあります。
・元本保証はない
・信用・金利・為替リスクがある
・不動産投資などは場合によって多額の資金が必要
自己資金を使用することから、リスクがない資産運用はないといっても過言ではないでしょう。とくに投資信託、株式などは、現在までの価値や状況が良かったとしても、会社・ファンドの動向によって大きく左右される点には注意が必要です。
短期的な運用であれば、利回りや利率は気にする必要がないものの、運用益に期待することはできません。しかし、長期的な運用であっても株式なら倒産、他の商品では価格変動などのリスクは常に想定しておかなければなりません。
そして、利益に関しては、長期的な運用の方が損失をカバーしやすいといえます。例えば、短期的な取引では、投資信託や株式のマイナスはカバーしきれないものの、情勢によってはどちらも向上する可能性があるためです。
まとめ
ここまで投資と投機の違いについて解説してきました。投資は長期的な運用での利益を得ることが目的、投機は短期的な運用での利益を得ることが目的です。
どちらも一長一短ではあるものの、長い歳月を前提とした場合、投資の方がリスクが低くなりやすいという傾向にあります。これは、様々なリスクを鑑みたうえでも、世界情勢や企業の動向によって価値が回復する可能性があるためです。
投資と投機は資産形成を行うための手段であり、向き・不向きなどの傾向もあります。そのため、「資産運用をスタートしたい」「不動産投資は投資内容としてどうなの?」などでお悩みの場合、アスクルパートナーズの「不動産投資セミナー」をご利用ください。貴方に最適な不動産投資の方法や考え方を知るのに役立ちます。