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高所得な会社員は節税対策が必須!バランスの良い不動産投資
節税対策×不動産投資
毎年納税しなければならない所得税や住民税は、給与所得控除や基礎控除などを差し引いて求める課税所得額をもとに計算されます。
住民税率は一定ですが、所得税率は課税所得額によって7段階に分かれており、所得が大きくなるほど税率も高くなる仕組みになっています。
そのため、高所得のサラリーマンは低所得者に比べて納税額が大きく、きちんと節税しないと資産形成に支障を来すおそれがあるので要注意です。
今回は収入ごとの所得税負担額を紹介するとともに、節税に役立つ不動産投資の基礎知識について説明します。
高所得サラリーマンは所得の3割以上の税金を取られる
高所得サラリーマンほど税金の負担が大きくなると説明しましたが、実際に所得税率が跳ね上がるのは所得がいくらになった場合なのでしょうか。
国税庁のホームページに掲載されている所得税の速算表を参考に、課税所得額と税率、控除額の関係をまとめてみました。[注1]
課税所得金額 | 所得税率 | 所得控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
課税所得金額330万円以下なら所得税率は10%以下で済みますが、年収500万円のラインである330万円超~695万円では税率が20%にまで跳ね上がります。
さらに900万円超になると33%の税率が適用され、課税所得額のおよそ1/3を所得税として納税しなければならず、かなり大きな負担となります。
年収850万円以上の高所得サラリーマンは2020年から増税へ
給与所得者の場合、基礎控除や配偶者控除のほかに、給与所得控除を受けられます。
どのくらい控除されるかは給与収入の額によって異なっており、平成30年分は以下のようになっています。[注2]
給与収入額 | 給与所得控除額 |
---|---|
180万円以下 | 収入金額×40% ※65万円に満たない場合には65万円 |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660円超1,000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円(上限) |
ただし、令和2年分からは給与所得控除額が以下のように見直されることになりました。
給与収入額 | 給与所得控除額 |
---|---|
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 ※55万円に満たない場合には55万円 |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
660円超850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) |
給与所得が850万円以下では、所得控除額が一律10万円引き下げられています。
ただ、一方で基礎控除額が現行の38万円から48万円に引き上げられるため、給与所得が850万円以下の方は控除額の引き下げ分と相殺になり、結果的に課税所得額に影響はおよびません。
ただし、年収850万円を超える方は給与所得控除額の引き下げ分が10万円を超えてしまうため、実質的な増税となります。[注3]
高所得サラリーマンの節税に不動産投資が有効な3つの理由
課税所得を抑える方法はいくつかありますが、中でも不動産投資は効果的かつ手っ取り早い節税方法として知られています。
その理由を3つのポイントにまとめました。
1. 給与所得と損益通算できる
不動産投資を始めるには、高額な物件を購入したり、管理会社に委託費用を払ったりしなければならないので、かなりの費用がかかります。
特に初年度は物件取得に関する諸手続費用がかかるため、帳簿上では赤字経営になりがちです。
しかし、不動産投資で出た赤字は給与所得と相殺できるので、トータルの所得額を減らせます。
これを損益通算といい、次に説明する減価償却が終わるまでは効果的な節税となります。
2. 物件購入価格を減価償却できる
不動産投資に利用した費用は基本的に購入した年度のみ経費として計上できますが、建物や附属設備などの固定資産は耐用年数分だけ経費を分割計上できます。
これを減価償却といい、物件の耐用年数に応じた減価償却率を乗じて計算します。
たとえば2,000万円の木造アパートなら、耐用年数は22年、減価償却率は0.046なので、2,000万円×0.046=92万円を22年間にわたって毎年経費として計上できます。
3. 現金より資産価値が下がるので相続税対策になる
現金はいつの時代も時価で評価されますが、不動産の場合、評価額は時価より低くなります。
土地の場合は路線価の80%、賃貸用物件は購入価額の30~40%まで下がるので、預金よりも相続税を節税できます。
節税ばかり重視すると損をする可能性あり
不動産投資では、物件購入費が大きいほど節税効果が高くなります。しかし、不動産取得にともなう諸費用は初年度しか計上できませんし、減価償却にも限りがあるので、2年目以降の節税効果はだんだん薄れてきてしまいます。
たとえ節税が主目的であっても、減価償却が終了した後のことを考えて、家賃収入とのバランスにも配慮するようにしましょう。
不動産投資アドバイザーの力を借りてバランスの良い投資計画を立てよう
不動産投資は多額の物件購入費を経費として分割計上できたり、現金を不動産に組み替えることで相続税対策できたりと、税制面で多くの優遇を受けられます。
ただ、減価償却が終了すると節税効果はほぼなくなってしまうので、節税だけでなく、安定した収入を生み出す資産として活用できる基盤を整えておくことが大切です。
具体的には需要の高い物件を選ぶ、減価償却が終わった後の分も含めて綿密な収支シミュレーションを行うなどの方法がありますが、いずれも投資初心者には難しいので、プロの不動産投資アドバイザーのサポートを受けることをおすすめします。
[注1]国税庁:所得税の税率
[注2]国税庁:給与所得控除
[注3]国税庁:平成30年分 所得税の改正のあらまし