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マンション投資のリスクとは?ワンルーム経営に失敗しないためのリスク管理
シミュレーションリスクワンルーム利回り
一口に不動産投資といっても、アパート経営、マンション経営、駐車場、店舗、太陽光発電など様々です。そのなかでマンション投資(区分所有:1戸~)は比較的手に届きやすく始めやすい投資といえます。
この記事では、マンション投資で想定されるリスクについて解説します。
▶合わせて読みたい:ワンルーム不動産投資で必要な、ローン返済と収支シミュレーションの簡単な方法
まずはマンション投資のメリット・デメリットを確認しよう
若い世代の人でも取り組みやすく、注目を集めているマンション投資。まずはどういった投資なのか、メリットとデメリットを確認しましょう。
マンション投資のメリット
- 小さい投資金額で始められる
- 高い流動性である
- 管理がほぼ不要である
上記のように、ワンルームマンション投資のメリットには魅力が豊富です。これらを上手く活かすことが収益を上げることに繋がります。それぞれ具体的に見ていきましょう。
①小さい投資金額で始められる
マンション投資のメリットの一つは、他の不動産等して比べて投資金額が小さいことです。マンションのある地域や建物の築年数によって違いがあるものの、少額の自己資金で始めることができることから、若い世代の人にもチャレンジしやすいのが特徴です。加えて、金融機関のローン商品も年々増加しています。不動産投資初心者にとっては、資金面での始めやすさは大きな魅力でしょう。
②高い流動性である
流動性とは、端的にいえば売れやすさのことです。マンション投資は、他の不動産投資よりも流動性が高いといわれます。投資用、自宅用、セカンドハウス用、事務所用などで様々な需要があるため、出口(売却)戦略が立てやすいでしょう。
とはいえ、この流動性はあくまでも他の不動産投資と比較した場合です。株式投資や為替などの金融商品と比較したら、流動性は見劣りします。
③管理がほぼ不要である
通常、マンション管理は管理会社に委託します。入居者の退去が発生した場合などに、入居者付けや住戸内設備のメンテをの依頼する必要はありますが、手間はそれだけと言っても過言ではありません。建物、設備の維持管理、日常清掃などは管理会社が手配します。本業があって忙しい人や、時間が足りない人にとっても副業として始めやすいでしょう。
マンション投資のデメリット
次はマンション投資のデメリットを確認していきましょう。デメリットを理解しておけば、損をしないマンション経営につながります。
①キャッシュフロー(手残り額)が小さい
家賃収入すべてが手に入るわけではなく、必要経費やローン返済のことも考えなくてはなりません。
▼キャッシュフロー(手残り額)の目安
家賃収入 | キャッシュフロー | 約15% |
必要経費 (管理費・修繕積立金・固定資産税など) |
約25% | |
空室率 | 約10% | |
ローン返済額 (自己資金の割合により返済額の割合は変わります) |
約50% |
マンション投資では、必要経費(管理費、修繕積立金、固定資産税など)を毎月支払う必要があります。
また、必要経費よりも大きな割合を占めるのが、毎月のローン返済額です。この割合は家賃収入の50%前後です。購入時の自己資金の割合が大きければ、ローン返済額の割合は小さくなります。
家賃保証を採用すると、保証料の出費もあります。
閑話休題:「マンション投資は儲からない」は本当?
時々、「マンション投資は儲からない」という人がいます。しかし、実際にはたくさんの人が儲けているため、そんなことはありません。
では、なぜそのようなことが言われるのでしょうか。
理由の一つは、マンション投資が、投資した金額の何倍もの利益を上げるための投資ではないからです。株式投資であれば、投資した会社の株価が2倍になれば、投資したお金が2倍になります。
しかしマンション投資では、融資をうまく活用しレバレッジを効かせることはできても、感覚的に大きな利益を得られるわけではありません。それが儲からないイメージを作っていると考えることができます。
また、マンション投資は中長期的に行うものです。これもまた、儲かっている実感がわかない理由でしょう。
マンション投資のリスクと失敗要因
それでは、マンション投資にはどのようなリスクがあるのでしょうか?また、多くの人はどのようなポイントで失敗しているのでしょうか。
マンション投資のリスク
①退去・空室のリスク
マンション投資では退去や空室になるリスクがあります。空室であっても前述の必要経費やローン返済は毎月発生するため、収支がマイナスになります。
部屋のメンテナンスを適切に行わなければ、退去者がでたあと、次の入居者が付きにくくなります。。また入居時期には、繁忙期と閑散期があります。1~3月の繁忙期に退去されると、次の入居者は比較的決まりやすいのですが、4~6月の閑散期に退去されると、入居付けに苦戦するケースも珍しくありません。
②災害のリスク
過去に、武蔵小杉にあるタワーマンションが、地下に雨水が侵入して電気機械が停止し、エレベーターやトイレの使用が不可になったことが報道されました。水害、地震、風害などは場所を問わず発生します。建物や設備に劣化・損傷が生じると、マンション経営の根幹に関わります。
ハザードマップなどを事前に調査し、災害のリスクができる限り小さな立地を選択する必要があります。
マンション投資の失敗要因
不動産投資で失敗する人は、
- ・出口戦略を考えずに購入してしまう
- ・利回りだけに目を留めて購入してしまう
- ・入居者管理・住戸内設備管理ができていない
という要因が見受けられます。調査不足や正しい情報を入手していない、腕のある不動産投資アドバイザーを見つけられていないなども要因として挙げられます。それぞれ、もう少し詳しくみてみましょう。
①出口戦略を考えずに購入してしまう
新築分譲マンションの場合、鍵の引渡しがされた直後から中古マンションになり、その評価額は70~80%になります。建物価格に分譲会社の様々な経費分20~30%位が上乗せされているためです。たとえば新築分譲価格が2,500万円のマンションの場合、すぐに売却したとしても1,750~2,000万円での取引となります。
その後も築年数とともに、評価額は低くなります。
よって、自己資金を20~30%位は投入しておかないと、売却時にはローン残高よりも評価額は低くなります。他に充当できる資産が無ければ、売りたくても売れない事態に陥ることとなります。下図は、国土交通省住宅局の「平成30年度住宅市場動向調査~調査結果の概要~」から資料を引用したものです。
このグラフによれば、分譲新築マンションの頭金比率は27.5%、中古マンションの頭金比率は30.6%となっています。全体として、頭金を30%近く投入して無理なく購入されているのが見て取れます。
②利回りだけに目を留めて購入してしまう
儲かるために、利回りは大切です。利回りが悪い物件が儲かるはずがありません。しかし、それ以外にも重要なことはあります。それは「立地」です。人口、駅から徒歩圏内、周辺環境、災害リスクなどが考慮された立地はとても強いエリアといえます。反面、立地を間違えると空室問題や家賃値下げに直結する可能性が高まります。
2番目の優先事項は、購入価格と築年数です。上記グラフを見てもわかるように、築年数が長くなるほど価格は下がり、利回りは良くなる傾向にあります。しかし、あまり築年数が長すぎると、ローンを利用するにあたって金利が上がったり、利用不可となる場合もあります。また、建物、設備の維持、修繕費用がかさむのも避けられません。売却時期の建物の築年数を考慮しての購入が大切です。旧耐震基準(建築確認済証の交付日が1981年5月31日以前)のマンションは、余程のこと(非常に有利な条件)が無い限り、購入しない方が良いでしょう。
上記を押さえた上で利回りを考えるのが得策です。利回りにも表面利回り、実質利回り、ROI(投資収益率)があります。それぞれ使い分けをしながらのマンション調査が、儲かる物件選択の要となります。
▶合わせて読みたい:不動産投資の利回りとは?表面利回りと実質利回りの違いとは
③入居者管理・住戸内設備管理ができていない
マンション投資での収入の源泉は入居者からの家賃収入です。ここを疎かにすると必ずといっていいほど儲からず、失敗します。入居者のストレスを大きくしてしまう管理は、オーナーの怠慢としかいいようがありません。入居者ニーズをいち早く捉えて、対処する姿勢が必要です。そうすることで、長期入居が実現し、安定収入へと繋がります。
マンション投資のリスク管理で大切なことは?
マンション投資のリスクを理解したあとは、具体的なリスク管理の方法も知っておきましょう。
利回りの観点から、中古マンションへの投資を考える
高利回りをあげようとするならば、投資額を抑えることができる中古マンションを狙うべきです。
①投資の仕組み:利回りを中心として
利回りには代表的なものとして、表面利回り、実質利回り、ROI(投資収益率)があります。
・表面利回り
店頭やWEBサイトに掲載されている利回りの大半は、表面利回りです。
・実質利回り
表面利回りに、必要経費と購入時諸経費を加味したものが実質利回りです。
となります。これに空室率を加味した実質利回りの計算式は、
です。ここで空室率は、
です。実質利回りは、全額自己資金で購入した場合の利回りとも言えます。
・ROI(投資収益率)
実質利回りに、ローン返済額を加味したものがROIです。
となります。これに空室率を加味した実質利回りの計算式は、
となります。金融機関の融資審査では、ROI(空室率を加味)を採用している場合が多いです。空室率20%、現行金利+2%の条件設定にて計算結果がプラスになるか否かを審査します。
②利回りの運用方法
利回りの運用方法ですが、中古マンション候補選択などに使用するのが表面利回り・実質利回りです。
・検索機能付WEBサイトから候補選択
最初に「表面利回り」にて中古マンション候補を抽出します。「楽待」や「健美家」などの検索機能付きのWEBサイトから「表面利回り」で、たとえば9%以上と入力し、中古マンション候補を数十件ほど抽出します。この中から、立地、価格、築年数を点検し、自身の設定条件に該当しないものは外します。
次に「実質利回り」にて絞り込みを行います。上記の実質利回りの計算式の中で、必要経費の目安は満室賃料の約25%です。購入時諸経費は、中古マンション購入価格の約7%です。空室率は約10%に設定します。すると実質利回りの概算式は、
となります。たとえば7%以上の中古マンションであれば、候補として残します。最後に残った中古マンションをROIでふるいにかけ、購入物件を決めます。ローン返済額は金利、借入期間、自己資金額により違います。色々と条件を変えながらローン返済額を算出し、上記計算式でシミュレーションします。
目安を2%以上と設定した場合、2%に満たなければ外すか、金利の低い金融機関の選択、借入期間の延長、自己資金の増額などを検討し直し、2%を確保することを意識しましょう。ROIの特徴は、建築構造や購入金額の異なる物件同士の比較に利用することができる点です。
・利回りによる投資判断の目安
一概にはいえませんが、あえて利回りの目安を出します。大都市と郊外とでは違いますが、下表の通りです。
利回りの種類 | ||||
---|---|---|---|---|
表面利回り | 実質利回り | ROI (投資収益率) |
||
地域 | 大都市 | 9%以上 | 7%以上 | 2%以上 |
大都市以外 | 11%以上 | 8%以上 | 3%以上 |
マンション投資をライフプランに重ねて考える
下図は、公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)」の中の「中古マンションの築年帯別平均価格」を表したグラフです。新築から築10年までと、築20年から築30年までの間は、急に価格が下がります。築30年を超えると上昇に転じるマンションも出てきます。新築で購入するにしろ、中古で購入するにしろ、自分の年齢も鑑みての購入、売却時期の選定が必要になります。
マンション投資の秘訣は、必ず購入時期と売却時期をセットにして検討することです。また、自己資金をある程度作ってから投資に臨むのか、ごく少額の自己資金で臨むのか、見極めも必要といえるでしょう。
リスクもデメリットも隠さずに話す営業マンを選ぶ
不動産会社の営業マンは要になる存在であるだけに、重要視したいところです。
判断のポイントは以下の5つです。
- ・包み隠さず情報開示をしてくれるか
- ・自分と気が合うか
- ・些細なことでもフォローやサポートしてくれそうか
- ・業務以外の会話や情報共有もスムーズか
- ・積極的にアドバイスやプランニングを行ってくれるか
これらをもとに信頼できる営業マンかどうかを見極めて、自分の右腕となる担当者を見つけることが大切です。
得をする人は、能動的かつ敏腕のアドバイザーを味方につけている
マンション投資初心者が上記の項目を検討できるようになるまでには、ある程度の経験が必要です。文献だけ読んでも身に付くものではありません。そこで必要になるのが、ネットワーク形成です。
不動産投資と一言で言っても、建築・設備・不動産売買・税務・法務など、様々な分野にまたがります。それぞれの分野での適切なアドバイスを受けることができる人脈を形成することも、不動産投資の大切な業務の一つです。マンション投資の成功者には必ずと言っていいほど、優秀なアドバイザーが味方につき、専門的知識のネットワークを築いています。
まとめ
今回紹介したようなリスクを把握し、リスク管理を行えば、初心者でも安定した収益をあげることができるでしょう。
マンション投資初心者の方は、まずは比較的収益化しやすい東京都心で、信頼のできるアドバイザーをパートナーにして、マンション投資の経験を積むことから始めてみましょう!
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